FA機器などの製造販売を手がけるイシイフィールドサービスは、藤原琢也顧問税理士(長田達子税理士事務所)の
支援のもと、戦略財務情報システム『FX2』による精緻な業績管理に取り組んでいる。「案件ごとに原価管理することで利益の出ている案件とそうでない案件が一目で分かるようになった」と石井和志社長は話す。
──事業内容を教えてください。
石井 売り上げ構成比の最も大きい事業がFA(ファクトリーオートメーション)機器の設計・製作です。
ラインアップは製品の外径を測定する装置や、製品に傷や汚れがついていないかを検査する装置など。取引先の多くが兵庫県内に拠点を置く工場で、なかには大手重工業メーカーもあります。
──創業の経緯は?
石井 もともと姫路にあるメーカーでフィールドエンジニアとして勤めていましたが「自らの手でものづくりがしたい」との思いから1995年に独立しました。その後、2011年に法人成りして今に至ります。
石井和志社長
──独立を志した理由をもう少し詳しく教えてください。
石井 前に勤めていた会社では取引先が作成した設計書をもとに製品を作っていました。いわゆる下請けです。もちろんやりがいはありましたが、フィールドエンジニアの経験を重ねるうちに「自社製品をつくり、多くのメーカーに届けたい」という思いがふつふつと沸き、一念発起して事業を立ち上げました。今でも取引先の設計書から装置を作ることが多いのですが、2〜3年ほど前から自社ブランド製品である小型ロボットの製造販売にも積極的に取り組んでいます。
──ロボット製品のラインアップを紹介してください。
石井 当社が扱っているのは小型かつ安価なロボットで、ティーチングソフトウエアとパッケージにして提供しています。例えば、プレスの自動供給、自動排出、完成品の自動検査など、用途は多岐にわたります。
機械に詳しくなくても簡単に扱えるシンプルな操作性が好評です。
──自社ブランドとしてロボット事業に照準を合わせた理由は?
石井 繰り返しになりますが、かねて自社製品を持ちたいと考えていたことが一つ。もう一つは取引先の社長から「製造工程を自動化するロボットを作ってもらえないか」と相談を受けたことです。実際に試作したところ好評だったので、自社ブランド品として製品化することを決めました。
小野市にある工場
──受注状況はいかがでしょう。
石井 ぼちぼちといったところでしょうか。当社が拠点を置く小野市や隣接する三木市の金物加工業者を中心に導入が進んでいます。
藤原 石井社長はチャレンジ精神が旺盛で、新しいことにも積極的に挑戦されている印象です。最近は展示会への出展も精力的に行うなど、県外企業への営業活動も熱心に進めておられます。
──ほかの事業はいかがでしょう。
石井 12年に取引先から承継した門扉の製造事業も堅調です。お客さまは個人から法人まで多岐にわたり、現在は売り上げの3分の1程度を占めるまでに成長しています。
藤原琢也税理士
──アピールポイントは何ですか。
石井 手前味噌ですが、設計・製造から据え付け・運用まで一気通貫でフォローするサポート力、装置の操作指導やトラブル対応などで取引先に急行するフットワークの軽さには自信があります。取引先からも「イシイフィールドサービスさんは困ったときにすぐに駆けつけてくれるので助かる」など、うれしいコメントを頂戴することが多いです。
ロボット製品は中小金物加工業を中心に引き合い多数
──『FX2』を導入した経緯を教えてください。
石井 門扉事業を承継した際に経理担当者も一緒に移籍してきたので、そのタイミングで『FX2』を導入しました。
藤原 以前はうちの事務所で記帳代行をしていましたが、門扉事業を引き継いだ際に経理のできる方が入社されたので「これを機に自計化しませんか」と進言しました。会社を成長発展させるには業績の推移をリアルタイムで把握し、打ち手を素早く打つことが欠かせませんからね。繰り返しになりますが、石井社長は新しいことにも臆せずに取り組まれるので『FX2』の導入もすぐに決断されました。
──特に注目している指標や科目は?
石井 当初は売上高の推移に注目していましたが、最近はコストや利益も含めて《365日変動損益計算書》を全体的にチェックするようにしています。変動費や限界利益なども会社の行く末を左右する重要な指標ですからね。当社では受注案件ごとに原価管理を行っているので、利益が出ている案件とそうでない案件、コストを圧迫している要因など、自社の課題とその背景をすぐに把握するとともに、対策を迅速に考え、実行することができています。
最近の話では、原料価格の高騰にもうまく対応できたように感じます。
ご多分に漏れず当社も原料高の影響を受けていますが、案件ごとに原価管理を行っていたことで価格高騰の兆候を即座に把握できました。価格転嫁に向けた交渉もすぐさま臨むことができ、その結果、従業員の賃上げ分も含めた販売価格の値上げを実現しています。
──決算書と月次試算表を「TKCモニタリング情報サービス」(MIS)で金融機関に提供されています。使い勝手はいかがでしょう。
石井 決算書は五つの金融機関に、月次試算表は三つの金融機関に提出しています。以前のように紙に印刷する必要がなく、提出先ごとに仕分けしたり、金融機関に持参したりする手間を省略できるところがいいですね。
藤原 イシイフィールドサービスさんはMISを利用する前から、紙ベースで決算書や月次試算表を提供されていたので、使わない理由がないと思い、サービスの提供が始まってすぐに利用をお勧めしました。現在は決算書・月次試算表などの基本帳表に加えて、記帳適時性証明書や添付書面(※)といった書類も提供されています。
──MISによって金融機関との関係に変化は生じましたか。
石井 ある信用金庫の担当者が試算表の内容をもとに経営力向上計画のたたき台を作成し、持参してこられたのには驚きましたね。「当社のことをよく考えてくれている」と、とてもありがたく感じました。事業柄、受注から入金までの期間が長く、資金繰りの不安を常に抱えているので、資金需要が生じたときに迅速に支援が受けられるよう、業績の良しあしにかかわらず帳表は提供し続けたいと考えています。
株式会社イシイフィールドサービス
業 種 FA機器、門扉、ロボットの製造販売
設 立 2011年1月
所在地 兵庫県小野市王子町403-2
売上高 1億3000万円
社員数 16名
顧問税理士 税理士 長田達子 藤原琢也
長田達子税理士事務所
兵庫県加西市北条町古坂1-13
──最後に今後の抱負をお聞かせください。
石井 いろいろありますが、一番はロボットの受注を増やすことですね。最新の技術をロボットの製造に取り入れ、今以上に使いやすく低コストで導入できるロボット製品を世に送り出していきたいです。
税理士が申告書作成にあたり次のような項目について、添付書面に記載します。
①関与先にどのような資料、帳簿類が備え付けてあり、どの帳簿類を基に計算し、整理し、申告書を作成したか。
②今期大きく増減した科目の原因及び理由。
③関与先からどのような税務に関する相談を受け、回答したか。
④税理士として関与先の申告書内容について、どのような所見を持っているのか。
書面添付をすると、調査対象となる前に、税理士に記載内容についての意見を求められることがあります。これを「意見聴取」と言います。この意見聴取で疑問点が全て解決できれば、調査省略となります。また、調査に移行したとしても、既に調査を行うテーマが分かっており短時間で終了するのが殆どであり、税理士・関与先ともに負担が軽減されます。
日本税理士会連合会「書面添付制度をご存じですか?」より引用